まだ痛みを我慢していませんか?(2015/04/01)

  緩和医療を知っていますか?癌になったときの痛みや苦痛を和らげる治療です。特に癌特有の痛みは強く長く続き、患者さんを苦しめます。しかし、最近は多くの薬が開発され、ほとんどの痛みを和らげることができます。特にいろいろな種類のオピオイド(麻薬)が開発され、これに従来の薬と併せてうまく使えば、副作用も軽くずいぶんと楽に治療できます。

「麻薬」という言葉に抵抗を感じる方がいるかもしれませんが、うまく使えば他の薬では替えることができないほど、非常に高い効果を得ることができます。

日本では多くの人が痛みを我慢し、我慢ができなくなると薬を使います。これを「鎮痛」といいます。一方欧米では、痛みがくることが分かっていれば、痛む前に薬を使って痛みを感じないようにします。これを「除痛」といいます。もちろん、除痛の方が合理的で、楽になりますので、除痛を目指します。

痛みは本人にしか分からず、医者にも分かりません。痛みの治療は患者さんが中心になって行う治療なので、痛みは我慢せず的確に訴えましょう。

日本では我慢する人が多いことから、欧米に比べてこのオピオイドの使用量が極端に少なくなっています。また、最近では癌に限らず、従来の薬で消えない慢性の痛みに対してもこのオピオイドが使えるようになり、ずいぶん多くの人が痛みから解放されるようになりました。最近のオピオイドは、飲み薬、貼り薬、注射薬、座薬、舌下薬などがあり、その人に合わせて使い分けができます。

繰り返しますが、自分の痛みは他人には分かりません。自分が中心になって治療に取り組み、どんな痛みも我慢せずに消し去りましょう。

                 

           善通寺前田病院 多田羅 潔


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